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2 Dec 2016
”世界の街角からこんにちは!” ~イタリアのクリスマス事情~

クリスマスが近づき、街がクリスマスのイルミネーションで彩られる時期になると、華やいだ気持ちになると同時に、何かしら急き立てられる気持ちになるものです。静かなクリスマスを迎えるためには大変な準備が必要だからです。

 

昨年、イタリアからイギリスに引っ越してまいりました。そしてクリスマスのこの時期、ご家族連れがツリーにするモミの木を買い求める姿を目にしたり、クリスマスツリーを乗せた車が街中を行き来するのを見たときに「ああ、北国に来たんだなぁ」という思いが致しました。そして、驚いたことに、年が明けるとそのモミの木が街角にかたまって捨てられてるのを目にした時にはイタリアとなんという違いだろうと思いました。私が長年暮らしたイタリアではどの家にも倉庫があって何でも大切に保管するからです。

 

イタリアではクリスマスのことをナターレ(伊:Natale)といいますが、これは生誕という意味です。カトリックのお国柄ということもあり、クリスマスツリーというよりは、「プレセーぺ」というものを飾ります。これは、イエス・キリスト様の誕生の様子を馬小屋に仕立てた模型の中に聖母マリア、ヨセフ、東方三博士、受胎告知をした天使ガブリエルなどキリストの誕生に出てくる登場人物をならべて飾るのが習わしです。クリスマスツリーのようにきらびやかなものではなくひっそりとしたもので初めて見たときにはとても驚きました。ですが、クリスマスの意味を象徴しており、何となく、何もないところからすべては始まるんだという思いに駆られます。

 

プレセーぺはどこのご家庭にも長年大切に保管されていて、日本でいうお雛様を飾るような感覚でしょうか。シンプルなものから、職人さんが作った高価なものまであります。ローマではナボナ広場に大きなプレセーペの市場がたち、年を越した1月6日のピファニア祭まで多くの人で賑わいます。市場では舞台となる馬小屋の模型やお人形を購入することが出来るのですが趣向を凝らしてご自分で作ってしまわれる方や、お子さんと一緒に創造性豊かに飾り付けしているご家庭もあり様々です。クリスマスの夜にゲストが集まると、まずはプレセーペ拝見となり、おしゃべりが弾む形となります。プレゼントもツリーの下ではなくプレゼーペの舞台下に置かれます。

 

         

          プレセーペ                室内に飾ったプレセーペ              ナボナ広場

 

次に、クリスマスのディナーですが、イギリスのクリスマスディナーは2014年の12月のニューズレターで詳しくご紹介されておりますが、イタリアのクリスマスで興味深いのは24日のクリスマスイブには魚料理を、25日のクリスマスではお肉料理をというのが習わしです。

 

ここでは我が家(といっても主人の母ですが)でいただく25日のクリスマスディナーのお肉料理を紹介いたします。お肉料理はまず、行きつけのお肉屋さんから、良質な牛肉のすね肉と鳥の腿肉を購入し、長時間、弱火でコトコトと丁寧にスープを作ります。

 

そして、まずはプリモ(一皿め)、煮込んだスープにゆでたトルテッリーニを浮かべてたっぷりなパルミジャーノチーズでいただきます。セコンド(二皿目)はボッリート(伊:Bollito di carne煮込んだお肉を数種類のソースでいただきます。ソースはサルサベルデ(伊:Salsa Verde )というものとモデナ地方で有名なフルーツのマスタードが代表的です。サルサベルデはイタリアンパセリにニンニクとゆで卵の黄身を入れブレンダーで混ぜ、オリーブ油で加減したソースです。この時期にでる新鮮なオリーブ油を使うと風味があり最高です。フルーツのマスタードは我が家のお気に入りで、フルーツの甘さとピリピリしたマスタードが柔らかいお肉の味をいっそう引き立たせ美味しいです。

 

              

(専門店での新鮮なトリテッリーニを購入していただく方が数倍も美味しいですが、

有名店になると早くからの予約が必要です。) 

 

      

  ボッリート ディ カルネ          こんな感じでいただきます。

 

そして、クリスマスのデザートはパネットーネ(伊:panettone)とパンドーロ(伊:pandoro)です。イタリアの代表的なクリスマスのお菓子 パネットーネはパネットーネ種の酵母(仔牛の小腸から採取される特殊なイースト)を用いたブリオッシュ生地に、レーズンプラムオレンジピールなどのドライフルーツを混ぜ込み、発酵と生地を休ませる作業を何度も繰り返して丁寧に焼き上げた、甘く柔らかな大きなドーム型のブリオュです。

 

         

       パネットーネ                   パンドーロ  

 

日本でのクリスマスケーキといえば、スポンジケーキにホイップクリームとイチゴの飾りつけ。ですので、初めてパネット―ネをいただいた時はとても驚いてしまいました。なぜならそれがケーキではなく本当にシンプルなパンだったからです。

 

しかし、何とも言えないふわふわとした中にドライフルーツの味が絶妙で、すぐに私を虜にしてしまいました。毎年、クリスマスはが待ち遠しくて仕方がありません。

 

スーパーマーケットで売られている大手メーカーのものもありますが、パンでありますから、街中のパン屋さんではそれぞれに伝統を守る美味しいパネットーネが販売されます。

 

パンの酵母を常備し、通常パンを自宅で焼く私、大好きなパネットーネ。いっそのこと自分で作ってしまえと幾度が試みてはみましたが、何度試してもうまくいきませんでした。それもそのはず、パネットーネの生地の発酵にはパネットーネ酵母が必ず使用されなくてはならないらしく、パネットーネだけは家庭で作るものではないとずっと後になってわかりました。

 

一方パンドーロ(伊:pandoro)はヴェローナが発祥の地とされ、パンというよりはシフォンケーキに近い感じです。八角形の星型様の独特な形で粉粉糖をかけて切り分けていただき、子供たちに大変人気のものです。至ってシンプルなものですので、暖かいチョコレートソースやカスタードクリームをかけていただいたりもするので、豪華なデザートに早変わりしたり致します。

 

カトリックの発祥の地、イタリアのクリスマスは実にシンプルで静かなものでした。それは、キリストの誕生をかたちどるプレセーペに見られるように、私たちがはじめて家庭を築いた時の喜びを、そして、子供を授かり子供が誕生した時のシンプルな感動を、何気なく私たちに思い出させてくれる時間なのではないでしょうか?

 

皆様、どうぞ素敵なクリスマスとよい年をお迎えください。