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28 Jul 2015
7月ー9月 BBCプロムナードコンサート

 

『イングランドの冬は7月に終わり8月に始まる』ーーとは詩人バイロンの言葉ですが、地球温暖化のせいか近年は英国にも夏らしい日が6月から7月にかけて何週間かは訪れて、人々を喜ばせています。英国ではこの短い好天の間をねらって、ダービー、アスコット競馬を皮切りに、ウィンブルドンテニス、全英オープンゴルフ、ヘンリーレガッタや、グラストンベリー野外ロックコンサートなど世界的に有名なイヴェントが次々と開催されます。

BBCのプロムナードコンサート(通称プロムス、正式名は The Henry Wood Promenade Concert)もその英国の夏を代表するイヴェントのひとつ、今年は7月17日から9月12日まで毎日、ロイヤルアルバートホールで開催されています。

 

プロムスは1895年にロバート・ニューマンという人が「もっと気楽に飲んだり食べたりしながら楽しめるコンサートを」という趣旨で始め、初演からの指揮者ヘンリー・ウッドの功績もあって大きく発展、1927年にBBCが引き継いでラジオで(現在はBBCラジオ3とBBC2テレビから)全国に放送されるようになって、さらに国民的行事となり現在に至っています。毎年7月から9月にかけて8週間、世界中から最高峰の指揮者、演奏家、歌手が集められ、70回のコンサートをこなします。また若手の無名演奏家の発掘も怠りなく、このコンサートで世界デビューした人も数多くいます。今年もイギリスからMark Simpson(クラリネット、作曲家としても有望視されている)、現在最も素晴らしい若手ピアニストと評判のロシアのDaniil Trifonov、同じくロシア生まれのヴァイオリニスト Alina Ibragimova、18歳のイギリス人ピアニスト Martin James Bartlett、プロムデビューを最も期待されていたアメリカ人のメゾ歌手 Jamie Barton などがスター演奏家としての第一歩をプロムスで踏み出します。

 

詳しいプログラムは www.bbc.co.uk/proms をご覧下さい。今年は日本人はピアニストの内田光子さんが9月4日に、指揮者の尾高忠明さんが8月5日に出演します。最終日には必ずエルガー作曲の 'Land of Hope and Glory'や 'Rule Britannia', 'Jerusalem' などイングランドを讃える曲が演奏され、客席では英国旗が翻り、英国色一色となり、'Auld Lang Syne'(日本名「ほたるの光」)で締めくくります。(最近はフットボールクラブのリヴァプールの応援歌として有名になったミュージカル「回転木馬」からの曲 'You’ll Never Walk Alone’が追加されているようです。)

チケットも上記のサイトで、あるいは会場のロイヤルアルバートホールで購入できますが、「気楽に楽しめるコンサート」プロムスの特色はなんと言っても一階中央の立ち見エリア(Arena)と天井桟敷(Gallery)が5ポンドで買えることでしょう。(この立ち見専門に通ってくる人たちを Prommers と呼びます。)立ち見券は当日売りのみですから、人気コンサートですと早くから並ぶ必要があります。開催中毎日入場できる通し券 (full season ticket) や1週間券 (weekly pass) もあり、これらの券があれば並ばなくても入場できます。また最終日の立ち見券はすでに5回以上コンサートに来ている人のみに限り、その5回の半券を見せて買います。

 

なお、最終日のチケットが入手できなかった、あるいはプロムスはその名のとおり野外のプロムナードで楽しみたいという人には、各地のパーク(ロンドン、グラスゴー、スワンジー、ベルファースト)でラストナイトの様子が映像で楽しめます。ロンドンではハイドパークで行われ、ロンドンシンフォニーオーケストラによるコンサートもあります。

 

「世界最大の民主的なミュージックフェスティヴァル」と言われているプロムス、英国以外ではなかなか味わえないコンサートです。