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7 Oct 2019
ラグビーのワールドカップによせて

2019年9月20日より第9回ラグビーのワールドカップが日本で始まりました。

1987年に第1回が開催され、今回、9回目の日本大会はアジア初の大会でもあります。

 

ラグビーワールドカップはサッカーワールドカップのように歴史があるわけではありませんが、今では夏のオリンピック、サッカーワールドカップと並んで世界三大スポーツイベントとなりました。

 

2015年のワールドカップイングランド大会で「スポーツ史上最大の番狂わせ」と言われた対南アフリカ戦の勝利の記憶も新しいなか、日本チームは今大会でも世界ランキング2位だったアイルランドに勝利するという快進撃を繰り広げ、ラグビーファンを楽しませてくれています。

 

ところで、ワールドカップの優勝杯が「ウェブ・エリス・カップ」と呼ばれていることをご存じでしたか?ラグビー好きな方なら誰でも知っているのかもしれません。ですが、私はイギリスに来るまで知りませんでした。

ラグビーというスポーツは、ロンドンの北西約130㎞の場所にあるラグビーRugbyという町にあるパブリックスクール、ラグビー校にルーツがあります。1823年にウィリアム・ウェブ・エリス少年William Webb Ellisがフットボールの試合中にボールを手に持って走り出したことがきっかけでラグビーというスポーツが生まれたと言われています。

優勝杯の名前はそのウィリアム・ウェブ・エリス少年が由来となっています。

 

それでは、日本ではラグビーはいつ始まったのでしょうか。1899年、横浜にある慶応大学の校舎で、当時大学理財科で英語講師を務めていた英国人E.B. クラーク氏が野球のシーズンも終わり暇をもてあましていた生徒たちを集めて教えたことが始まりと言われています。

そしてその2年後の1901年には横浜の外国人チームYC&ACと初めて試合をしたという記録が残っています。

120年たって今ようやく世界のレベルに近づいてきた日本のラグビーですが、ラグビーが持つ価値観と日本の人々が大切にしてきた精神には所々共通する点があるように感じます。

ラグビーユニオンは、ルールブックの最初にラグビー憲章として①品位(Integrity)、②情熱(Passion)、③結束(Solidarity)、④規律(Discipline)、⑤尊重(Respect)の五つを記載しています。

「勝ち負けにこだわらず品位を持ったプレーにより熱意を持ってゲームに向き合う、ゲームに関わるすべての人を尊重する、プレーする中で培う結束力が文化的、地理的、宗教的な相違を超える忠誠心へとつながる一体的な精神をもたらす、そして規律はフィールドの内外において不可欠なものである」と言っています。

 

「ノーサイドの精神」(ノーサイド=試合終了というのは今では日本だけで使われているそうですが)と言われるように、試合が終われば敵も味方もなくお互いを尊重したたえ合う、試合の勝敗を超えた、スポーツが本来持つべき姿こそラグビーが大切に守ってきた伝統であり、価値なのではないでしょうか。

先日のアイルランド対日本の試合後に、負けたアイルランドの選手達が二列に整列し、フィールドから退く日本選手を拍手で送り出す光景がありました。また、選手だけでなく会場にいたアイルランドサポーターからも大きな拍手が送られていて、とても印象的で見ていてとても気持ちよく思いました。その光景を見たとき、ふと、剣道や柔道などの「礼に始まり礼に終わる」武道の伝統と通じるところがあるように感じました。

 

ところで、試合中トライを決めると5得点入りますが、なぜ「トライ」というかご存じですか?昔は本当に「挑戦する」という意味で使われていたそうです。以前のルールではトライを決めただけでは得点できるわけではなく、ゴールキックに挑戦できる権利がもらえ、それが成功することで点が入る、というものだったので「トライ」と言われていたそうです。

その後何度もルールが変更されていく中で、トライするだけで得点ができるようなルールになったのですが「トライ」という用語は今でも継続して使われています。

 

ラグビーワールドカップは計44日間、11月2日まで開催されます。

今後の各チームの活躍を楽しみにしたいと思います。

 

                     

ラグビーの街にあるPoppy dayに            エリス少年の銅像

合わせたウェブ・エリス・カップ