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5 Dec 2019
1976年12月、バタシー界隈で

伝説的ロックバンド ピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズは新作アルバム「ANIMALS」のジャケット制作のためにアーティストのオーブリー・パウエルを呼び出してこう言ったそうだ。「バタシー発電所で何かしたい」と。ウォーターズは当時まだ稼働していた発電所近くに住んでいて、自宅窓からは煙突から出るスチームが見えていたという。バンドは丁度ツアーのために豚のバルーン(*)を作ったばかりということもあり、二人で発電所を見上げているとウォーターズはこれを煙突の間に飛ばしてみようと言い出した。

 

パウエルは撮影当日のことをこう言っている。

 

「撮影の日は素晴らしい日でターナーの絵のような空だった。当初は豚を膨らませるのに手間取り、取り急ぎ発電所の写真を撮影した。そしてようやく豚が膨らみ2つの煙突の間に浮き上がり、よし準備万端、という時に鎖が契れて豚は更にどんどん上昇して行き空の彼方へ姿を消した。バタシー発電所界隈はヒースロー空港の管制空域のため、ヒースローでは全ての便が欠航になり英国空軍が出動する事態となってしまった。」

 

パウエルは逮捕され、豚の捜索依頼も出された。当日夜9時半にケントの農家から「うちの敷地で牛を死ぬほど怖がらせている豚がある」と連絡があり、ピンクの豚は無事確保された。

 

後日、発電所から再撮影の許可を得たが空の具合が良くなく、実際のアルバムジャケットは初回撮影分に豚画像を合成して制作されている。現在は大規模な再開発が進む同発電所だが、閉鎖後の施設訪問者の大部分がピンク・フロイドのファンであると、バタシー発電所の関係者は報告しているそうだ。

 

・・・時は流れて40有余年・・・

 

この1976年12月初旬の事件をご記憶の方、2011年に行われたバンドのリマスター盤発売記念でのジャケット写真再現イベントをご記憶の方、豚の浮かぶ不思議なアルバムジャケットと共に、華やかだった古き良き英国音楽産業を思い起こしてみては如何でしょうか。

 

12月のバタシーの空はターナーの絵のようになることもあった、と。

 

(*)名前はALGIE、体長40フィート

 

 

バタシー発電所開発プロジェクト

https://batterseapowerstation.co.uk/

 

ピンク・フロイド オフィシャルサイト動画

http://www.youtube.com/watch?v=LG2cAw0ALxA

 

                        

      件のアルバムジャケット(部分)                              現在のバタシー発電所